今週の火曜日、会社で沖野さんの勇退式があった。

そのとき、ふと最初にSuntechのホームページを開いた日のことを思い出した。
目に入ったのは、一列に並ぶ制服姿の人たち。
ポーズを取るでもなく、ただ静かにカメラを見つめるその姿に、思わず目が止まった。

当時、私はまだアメリカの大学生で、「職人精神」という言葉は知っていたけれど、どこか遠い存在だった。その写真を見たとき、ふと「こういうことなのかもしれない」と思った。
刻まれた皺、手に残る仕事の跡、まっすぐな眼差し——職人とは、こういう人たちなのだと。

そして、その写真の中にいたのが沖野さん。
鉄工の世界で70年の道を歩んできた人。      

70年。

私はまだ人生の1/4も歩んでいない。
だからこそ、70年という時間を想像するのは、正直すごく難しい。
でも、一つだけ言えるのは、その時間を「同じ仕事」に注ぎ続けることがどれほどすごいことか、ということ。

普段、沖野さんと深く話す機会はあまりなかったけれど、その姿は日常の中にいつもあった。

工場見学のとき、すれ違うと笑顔で挨拶してくれた。
その笑顔が、なんだか安心感をくれた。
昼休み、ふと窓の外を見ると、駐車場の車の中で静かに本を読んでいる姿があった。

そして、勇退式で一番印象に残ったのは、長年共に働いてきた仲間の一言だった。

冗談っぽいけど、「90歳まで働けると思ってた」。

その言葉が、なんだかすごく心に残った。
長年一緒に働いてきた人だからこそ、出てきた一言。
「お疲れ様でした」とかよりも、ずっと自然で、ずっと深い。

きっと本気でそう思ってたし、それが“当たり前”だと思ってたんだろうな。
だからこそ、この瞬間には、この言葉以上にふさわしいものはなかった気がする。

そう思ったとき、Suntechには、工場には、何十年も仕事と向き合い続ける人たちがいることに気づいた。積み重ねた時間が技となり、その技が誇りへとつながっていく。

沖野さんも、その一人。
その姿勢や積み重ねてきた時間は、これからもSuntechの文化の中で生き続けていくんだと思う。

職人に、敬意を。

Jinyu 2025/3/7

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