今まで仕事をしていた中で諦めたり挫折したりした事はありますか?
という質問に対し、「諦めようと考えた事ない」と笑顔で即答するのは溶接工の馬場裕行。
本人曰く、「俺はしつこい性格だから絶対に出来るまでやめないからね」
当たり前のように応える彼の笑顔には、職人としての誇りと彼が守りたい家族の存在があった。
娘の描いた絵
菅原文太主演の映画、トラック野郎シリーズ。魅力ある主人公の活躍や少々過激とも言える大人の世界の描写に高校時代の馬場は魅力を感じていた。そんな馬場は高校卒業と共に免許を取得しトラックの運転手になった。自分の好きな仕事をしながら、結婚し子宝にも恵まれ充実した日々を過ごしていたそうだ。子どもが大きくなり、保育園に通わせていたある日のこと。娘の持って帰った1枚の絵をみて違和感を覚えた。
家族の絵を描いたものだったのだが、一人足りていない。子どもに「なんで一人足りないの?」と聞くと、カタコトの言葉で「だってパパはお家にいないから」という答えが帰ってきた。その時、彼は仕事で家を空けてばかりだった事に気付き、家にちゃんと帰れる仕事をしようと考えた。工場での勤務なら毎日家に帰り、家族と共に過ごす時間が増えるという思いから転職を決意したそうだ。
そして勤務先で選んだ工場で溶接という仕事と出会ったのである。
馬場にとっての溶接工の魅力
転職した馬場は溶接の世界にどんどんのめり込んで行った。美しい見た目に仕上げつつ十分な強度を保つことができるか、図面を正しく読み取り、的確に作業できるかなど、溶接は単純作業のように思えるかもしれないが様々なスキルが求められる。
また、ひとつひとつの過程で、溶接工の腕によって大きな差が出るのも彼にとっては魅力のひとつ。凝り性な馬場にとっては、溶接は天職だったのかもしれない。
この溶接やった会社はどこ?
ある日、前職の会社にてひときわ綺麗な溶接を施してある製品を発見した馬場。自分がやった溶接に比べ、仕上がりが抜群に美しかったので思わず同僚に「この溶接はどこがやった仕事なん?」尋ねたところ「サンテックってところの仕事やで。綺麗やろ」と返ってきた。それが馬場にとってのサンテックとの出会いである。丁寧で高い技術で作られた製品を見て、自分もサンテックの職人のような溶接ができるようになりたいという目標が出来たそうだ。その後転職をする際に縁あってサンテックに入社する事になるのであった。